あまからしょっぱ

18/133
前へ
/133ページ
次へ
自分ヒトリで、自分変えるんは難しいけど。 何かとの出会い言うんは。 自分を変えてくれるで?」 姉3人は年齢が近いけれど。 末弟だけは年齢が離れていて。 この愛子とも7つ違う。 だから姉達は、弟をとても大切に可愛がっている。 また弟の見た目が、小動物のように愛らしい こともあって。 ついつい構ってしまうし。 口出ししてしまうのだ。 「せやけど。 結局オレ『大病院の子』扱いやし。 あんまり何も変わってへん気いする」 「全員がそうなんやナイやろ? 前の学校は、幼稚園からのしがらみとか。 色々あったけど。 もう、周りの目えは気にせんでエエんやし。 新しい学校も、始まったばっかりや。 これからやで。 楽しゅうしていかな」 スマホの着信音を止めて。 派手な色のジャケットを手にしながら。 愛子は、弟の髪と。 弟の腕の中で眠たそうにしているシオを。 優しく撫でた。 「約束あるから、行ってくんな。 また今度、続き聞かせてな」 「うん。 いってらっしゃい」 笑顔で見送りながら、山口はぼんやり思う。 そうだ、確かに。 自分を『そう』扱わない奴も居るな、と。 林の行動力は半端無かった。 丁度、合同体育大会『水無月祭』の準備が 始まったこともあり。 元気いっぱいに。 クラスを、学年を。盛り上げている。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加