あまからしょっぱ

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その様子を見ていて、山口は気付いた。 林は、よく相手を見ている。 何が得意な奴か。 どういうグループ繋がりが在るのか。 どんな風にノせたら、その気になるのか。 自分ひとりで、何もかもするのでは無く。 適材適所に役割を振る。 経過と達成感を共有する。 だからみんな気分良く、楽しく、自信を持って 協力し合えて行く。 そもそも。 我慢の中学受験をくぐり抜け。 エネルギー有り余っているオトコノコ達だ。 先導者が、上手く勢いに乗せさえすれば。 ぱーっ!と思い切り。 全解放したいのだ。 「すごいやん。 おまえヤルなあ!」 カラっと明るい林に、背中をばしっと押される。 そんな風に、いつの間にか。 新1年生始めの行事を、みんな思う存分に 楽しんでいた。 グラウンドの端には、運動部の部室棟がある。 屋上は、昼休みまで解放されていて。 『外観を損なわない』程度に、物干場として 使用しても良いことになっている。 林と山口と神田3人は、その屋上で弁当を 食べるようになった。 「これ、旨っ。 まわりパリパリや」 「素麺割ったん、衣にして揚げとんやな。 めっちゃ凝っとんなあ。 長嶺さんのご飯食べれんの、幸せやワあ」 「ふたりが褒めるから。 長嶺さん、嬉しゅうて。 どんどんお弁当、重なってまう」 「重いて言うけど。 あっちゃん、
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