あまからしょっぱ

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「チャラいブレザーより、マシや」 「どやった?学校」 「まだ入学式だけやし。判らん。 それより電車長いんが、しんどいワ」 「まあなあ。 部活とかどないするん?」 「空手部あらへんかった」 兄弟揃って、ずっと近所の空手道場に通って来た。 中学生になったら、成人の稽古に参加出来るので 楽しみだったけれど。 「帰宅部にしても。 夕方の稽古には、間に合わへんしなあ」 「オレ、夜の稽古にはよう付き合わんで? 黒帯のおっさんばっかやもん」 兄が食べていたポテチの袋を受け取る。 「げっ。 カケラばっかやん。 新しいのん無いん?」 なんかもう。 初日から何もかもが、上手く行かない。 タメ息を付きたくなる。 「なあ、この辺で一番大きい病院てどこや?」 「何や?急に。 また交通事故する気なん?」 「ちゃうワ。 山口て病院のコが、入試1番やってん」 「え? 医者で山口で、有名って。 それ、H市の青海会やろ。 道場で大怪我した先輩が、入院しとったやん」 兄の具体的な説明を聞いて。 林も、ああアレかと思い出した。 みんなで見舞いに行ったことがある。 駅から直通のバスが出ていて。 街中からちょっと離れているけれど。 広々とした敷地に、専科ごとにまとまった棟が 立ち並び。 それでいて初めてでも迷うことが無い、分かり
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