あまからしょっぱ

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廊下の遠くに、その2人を見掛けたことはある けれど。 声を掛けられそうな機会は、なかなか無かった。 だから、その憧れの2人が。 隣の1年A組に入って。 あのキャラメル君と話しているのを見た時は。 後先考えずに。 放課後、林はキャラメル君の席へ走ったのだ。 「なあ、キャラメ。いや山口くん。 生徒会のヒトと知り合いなん?」 くりっと大きな瞳が、不思議そうに林を見つめる。 「今日、生徒会のヒトと話しとったやろ? 急に、ごめんけど。 どうやって話すチャンス作ったん? 教えてくれへんか?」 「野田さんも青木さんも、引退したから。 今は生徒会のヒトちゃうで?」 「そやねん! 生徒会は、まあええねん。 過去の議事録とか、学校のHPで検索出来るし。 そやなくて。 あの2人の話直接聞きたいなあて」 ふうん、とキャラメル君は小首を傾げる。 「や! ミーハーなんは判っとおけど! ナントカ話すきっかけ作りたいねん」 山口はじーっと林を眺めた。 この目の前の、元気印な奴は。 自分を単なる繋ぎ役として、見ているだけだ。 ここまでスルーされるコトは、あんまり無い。 大体の場合、自分は『知り合いになりたくて』 話し掛けられる。 だから。 ちょっと、自分から踏み込んで。 林の視界に入ってみたくなった。 「なあ『キャラめ』って何?
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