あまからしょっぱ

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何かのゲームキャラ?」 「え?」 「さっき言うてたやん」 「ああ。 キャラメルの絵に似てるからや」 「キャラメル?」 悪気も無く。 さらっと林は応えるけれど。 甘い茶色の立方体が、頭に浮かんでいる山口は。 益々不思議そうな表情になる。 と、林の後ろで笑い声がした。 「はははは! あれやな。森永のエンゼルマークやんな。 確かにクセっ毛なんは一緒やな」 振り返った林は、驚いた。 ニコニコしながら寄って来た体育ジャージ姿の 生徒は、めちゃめちゃ背が高かった。 2つ上の兄よりも高いかも知れない。 新中学1年生なんて。 小学生プラス数か月の身体つきでしかないのに。 「あのマークう? オレあんなに丸うない!」 子供っぽい丸顔なのを、実は結構気にしていて。 珍しく。 山口はぷうっと頬を膨らませて怒った。 「ええやん。 そんな怒らんでも。 パンツいっちょでナガグツ履いたロボットより。 似とおやろ?」 「あはははは! 手塚治虫ファンが泣くワ。それ。 面白い奴やなあ。 オレ、神田明博。 ちょっと葬式があって。 今日が初登校やねん。 よろしくな」 そう笑顔で自己紹介されて。 やっと林も納得が出来た。 例え違うクラスでも。 こんなデカい奴、何で気付かんかったんや? と思っていたトコだ。 「オレ、クラスとなりで。
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