あまからしょっぱ

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ハヤシ言うねん。 なあ、身長なんぼ?」 「制服作った時は170ちょいやってんけど。 今はその制服キツイねん。 なんぼになったんやろ?」 回りのクラスメイトは、遠巻きにしつつも。 聞き耳を立てている。 自分達が遠慮して訊けなかったコトを。 隣のクラスのこいつは、ずけずけと質問し。 優等生の山口くんを、キャラメル扱いしている。 めちゃ失礼や、やかましいワと思いつつも。 そこの場所だけ、くだけた空気で。 昔っからの友達みたいになっているのが。 ちょっと羨ましい。 「山口、ノートありがとな。 助かったワ。 生物と世界史だけ、借りてってエエか?」 「他のん、もう写せたん? 持って帰ってエエんやで?」 「山口のノート、ようまとまっとおから。 丸写しせんでも。 要点だけ教科書に書き込みしたら十分や」 「それで、流れが頭に入るんやから。 ほんま神田は、要領良えな」 互いを呼び捨てにして。 ノートの貸し借りまでしている。 「仲エエんやな。 なんや羨ましいワ。 オレ遠距離通学で知り合い居らんねん。 時々ツルんでもええか?」 回りのクラスメイトは目を剥いた。 (なんて図々しい! 同クラのオレ等を差し置いて!) 神田は笑いながら、応える。 「ほんま面白いなあ。林くん。 言いたいコト、そのまんまやねんな。
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