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「あ、ごめ……」
また間違えてしまった。最近指が鈍ってやがる。思ったように動かない。頭に付いていかない。
「綿谷ー!どんまーい!」
「もう一回、二番のAメロからいくぞ!」孝則君がそう言って、俺のほうを見た。
彼と目を合わせて頷くと、二番の始まりのリズムを刻んだ。
なんとかミスらずに最終までいけた。
「おい、波瑠!またハモリのタイミング0.5拍ずれてたぞ!」
「えー?そう⁉︎」
「ああ。な、那月!」
「……うーん、言われてみれば」
「厳しすぎー。俺はギターも弾いてるんだ!」
「だからそれは私もだって!」
「ぎゃー。俺が一番忙しいんだぞ〜!」
「じゃあ俺が変わるか?ギター」
「……。やるよ」
波瑠のズレはそこまで目立たなかった。孝則君も波瑠に厳しいな。いや、まてよ。那月にも同じか。
ということは、俺にだけ、甘い。
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