群青ジレンマ、4

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 「あ、ごめ……」  また間違えてしまった。最近指が鈍ってやがる。思ったように動かない。頭に付いていかない。  「綿谷ー!どんまーい!」  「もう一回、二番のAメロからいくぞ!」孝則君がそう言って、俺のほうを見た。  彼と目を合わせて頷くと、二番の始まりのリズムを刻んだ。  なんとかミスらずに最終までいけた。  「おい、波瑠!またハモリのタイミング0.5拍ずれてたぞ!」  「えー?そう⁉︎」  「ああ。な、那月!」  「……うーん、言われてみれば」  「厳しすぎー。俺はギターも弾いてるんだ!」  「だからそれは私もだって!」  「ぎゃー。俺が一番忙しいんだぞ〜!」  「じゃあ俺が変わるか?ギター」  「……。やるよ」  波瑠のズレはそこまで目立たなかった。孝則君も波瑠に厳しいな。いや、まてよ。那月にも同じか。  ということは、俺にだけ、甘い。  
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