群青ジレンマ、4

5/40

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 「いや、疲れてる感じがするし」  「顔が?」  「顔、もだけど」  「腕?」  「え?」  「腕落ちた?はっきり言ってよ。波瑠や那月には言うのにさ、俺には言えない?」  「な!違う!別にそんなわけじゃ……。だってあいつらたまにふざけてるだろ。今だってあれだし」  孝則君に指差され、二人が間抜けな顔でこっちを見てきた。  「綿谷、おまえは普段完璧だ。おまえが立て続けにミスったりなんて珍しいからさ!」  「はははは。どういうフィルター?」  「……」  「俺だって、みんなと同じだから」  その日は用事があるから帰ると嘘を言ってしまった。情けね。孝則君は俺を心配して声をかけてくれたのに。嫌な気持ちにさせてしまったかもな。  あーあ。やだね。人間って。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加