群青ジレンマ、4

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 何もない家に帰った。  真っ暗な部屋の中、ただいまも言わずに突き進む。荷物を置いて、近くの椅子にだらんと腰を下ろし目を閉じる。  疲れた。  一人暮らしを始めたばかりだから、まだ段ボールだらけ。開けてないやつもある。  スタジオがうるさすぎたせいか、生活機材の音が耳に付くほど静かだ。  全身の力を抜いた状態で、しばらく、何も考えずにぼんやりとしていた。  外から、男女の会話する声が微かに聞こえる。  忙しいのは嬉しいけれど、最近、すげえ疲れるんだ。  しなければいけない事は溢れているのに、体が付いていかない。    とりあえずなんか食おうと、朝食わなかったパンを手に取った。タブレットで動画を流しながらそれをかじる。封が開いていたせいか、乾燥していて、固かった。            
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