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「そっか、そうだったんだ。」
「私は24じゃないよ。」
「そっか、だから、大人っぽかったんだ。」
「おばさんだからね。」
「違う!真紀はおばさんなんかじゃないよ。
年より若く見えるし、綺麗だよ。」
きっとリュウは慰めてくれてるんだろうけど、なんだかとても無理してるように思えた。
「……ごめんね。
でも、騙すようなつもりはなかったんだよ。
本当に気付かなかったんだ。」
「わかってるよ。」
一回りも下の子を騙そうと思うほど、私は厚かましくは無い。
それに、年下が好きなわけでもない。
今まではたいてい年上の人と付き合っていた。
「あ…今までありがとう。」
「え?何が?」
「だって、一回り上ってわかったんだよ。
もう無理でしょ。」
「なんで?そりゃあ、びっくりはしたよ。
でも、俺が真紀を好きな気持ちは少しも変わらないよ。」
本当に良い子だな。
こんなおばさんにまで、情けをかけてくれるんだ。
若い子なら、普通、さっさと逃げて行きそうなものだけど。
「今は混乱してよく分からないんだと思うよ。
でも、有り得ないから。
一回りも上の女と付き合っても、良いことなんてひとつもないよ。」
「なんでだよ。
年のことなんて、何も関係ないよ。
これからも真紀は俺の彼女だよ。」
嬉しいはずのその言葉が、空しく聞こえた。
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