年女と年男

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それから、私の誕生日があり、暑い夏が来て、秋が来て、寒い冬になり… 私達の仲は皮肉な程にうまくいっていた。 確かにまだわだかまりはある。 罪悪感みたいなものも… だけど、一回り歳が離れていることは、何の障害にもならなかった。 クリスマスイヴは、リュウの家で過ごした。 ケーキとチキンとピザを食べて、お酒を飲んで… 「あ、今日はプレゼントがあるんだ。」 「うん、私も持って来た。」 今年はカシミヤのセーターにした。 リュウは意外と寒がりだから。 もちろん、買ったものだ。 私には手編みなんて無理だから。 さて、リュウは何をくれるのかな。 お互いにプレゼントを交換する。 「わぁ、可愛い!」 リュウがくれたのは、暖かそうなスヌードだった。 「ありがとうね。」 「こちらこそ、ありがとう。 あ、ついでにもう一つあるんだ。」 リュウがおもむろに私の左手を取り、薬指にさしたのは、キラキラ輝くダイヤらしき指輪だった。 「えー…??」 「真紀、俺と結婚してくれ。」 「えっ!?」 まさかのプロポーズだった。 「ちょ、ちょっと急過ぎない?」 「俺、来年の春から大阪に行くことになった。 真紀にも一緒に来て欲しい。」 「え……」 ビックリしすぎて、まともな返事が出来なかった。
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