年女と年男

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「なかなかの別嬪さんですね。 リュウ、まさか顔で好きになったんじゃないだろうね。」 「違うよ、母さん、真紀は性格的にもとても魅力的なんだよ。」 あぁ、こそばゆい。 何事に対しても大雑把でいいかげんな私にはもったいないどころか、皮肉にさえ聞こえるよ。 「ご両親は既に他界されたとか?」 「は、はい。」 「真紀は昔から苦労して育ってきたんだよ。」 「そういえば、真紀さん、お年は?」 ついに来た!どうしようかと焦っていたら… 「俺と同じ辰年だよ。」 リュウ、そんなこと言って、ご両親を騙す気!? 「おやまぁ。真紀さんの方が落ち着いて見えるね。」 「俺は童顔だからさ。」 えーっ!いいの? そんなこと言って。 まぁ、確かに嘘は吐いてないけど、でも、完全に騙してる。 「あぁ、とりあえず、お屠蘇を。」 「ありがとうございます。」 言わなきゃと思いつつ、言うタイミングを逃してしまい、おせちをいただき、雑談に花が咲き… 「真紀さん、リュウのことをよろしくお願いします。」 ええっ!もしかして、結婚を許してもらえたの? なんだかとても申し訳ない気はするけど、でも、それでもほっとはした。
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