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「そろそろ起きて。」
「え……」
眠い目をこすりながら、時計を見る。
「もうっ!どうしてもっと早く起こしてくれないのよ!」
「十分間に合うでしょ。」
「女は準備に時間がかかるの!」
今からではシャワーを浴びる時間はない。
とにかく早く化粧をしないと。
「パンとごはん、どっちが良い?」
「食べてる暇なんてないわ!」
呑気なリュウに、当たり散らかす。
そう、悪いのは早く起きなかった私。
そんなことはわかってるけど、やっぱりイラついてしまう。
私はバタバタと準備を始めた。
今日は、二人でリュウの実家に行く。
リュウが私をご両親に紹介するんだ。
リュウとは知り合って、ちょうど丸一年になる。
私達の関係はそれなりにうまくいっていた。
だけど、昨年のクリスマスにプロポーズされた時は驚いた。
いつかは結婚するかもしれない。
結婚するとしたら、相手はリュウしか思いつかない。
そんな風には思っていたけれど、こんなに早いとは思っていなかったから。
今年の春から、リュウは大阪に転勤になる。
そのことがきっかけになったようだ。
一緒に大阪に来て欲しいって言われた。
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