年女と年男

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*** (あ……) 雑踏の中、私の足元に一枚のおみくじが飛んで来た。 つい拾ってみると、『末吉』と書いてあるのがちらりと見えた。 「あ、すみません。それ、俺のです。」 そこに立っていたのはリュウ。 「あの、これ…」 私がおみくじを渡そうとしたら、リュウは複雑な顔で片手を出した。 「今年は年男だから、気合いを入れては引いたのに、末吉なんてね。」 「え?そうなんですか。 私も今年、年女です。」 「タメですね。 おみくじは引きましたか?」 「はい、大吉でした。」 「えー……!いいなぁ……」 その言い方があまりにも情けなかったから、私はバッグからおみくじを出してリュウに差し出した。 「え…?」 「あげます。」 「えっ!?」 「だから、元気出して下さい。」 「えーっ!?」 リュウは私が驚くくらい、びっくりした声を上げた。 「君、優しいんだね。」 「え?」 おみくじをあげようとしたくらいで、そんなこと言われるとは思ってもみなかった。 「あの…良かったら、お茶でも飲みませんか?って、昭和のナンパみたいだけど、でも、お願いします。 君ともっと話してみたいんだ。」 リュウのストレートな申し出に、思わず心がざわめいた。
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