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神社の近くのカフェで、私達はいろんな話をした。
初対面なのに、なぜだか昔から知ってるような安心感があり、プライベートなこともいろいろと話した。
「酷いと思わない?
いつも、実家には帰ってたのに、今年は温泉旅行に行くからって。
それなら、俺も誘ってくれたら良いのに、二人だけで行ったんだよ。」
「だから、一人で初詣だったんだ。」
「そうだよ。あれ?もしかして、君も実家には帰らなかったの?」
あまり触れられたくないことに触れられてしまった。
スルーしても良かったんだけど、何も隠す必要もないから、素直に答えた。
「私の両親、もう亡くなったんだ。
だから、実家は無い。」
「そうなんだ。ごめんね、嫌なこと聞いちゃったね。」
「ううん、大丈夫。
あ、年女や年男の時って、良いことがあっても、悪いことがあっても三回続く、って言うよね。
この前の年女の時、おばあちゃんが亡くなって、お父さんが亡くなって、お母さんまで亡くなったんだ。
最悪でしょ。
だから、今年もなんか怖くて…」
「それはきついね。
大変だったんだね。
でも、今年は大丈夫だよ。
きっと良いことが三回あるよ。
まず、俺と知り合ったよね。
それと……」
リュウは突然片手を差し出した。
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