年女と年男

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「5、4、3、2、1、ハッピーニューイヤー!」 「ハッピーニューイヤー!」 本当なら、クラッカーでも鳴らしたいところだけど、夜中だからやめといた。 掲げたビールをぐいと一呑み。 「ついに年が明けたよ。」 「……そうね。」 おめでたいのになんとなく声が沈んでしまうのは、不安なことがあるから。 「何?その顔。 本当に真紀は心配症だなぁ。」 呆れたようにそんなことを言うリュウに 「あなたが楽天家過ぎるのよ!」 私は苛立ちをぶつけた。 でも、イライラしたところで、もうどうにもならない。 覚悟は決めた筈だったのに、いつまでもうじうじしている自分自身が腹立たしいのかもしれない。 (あぁ~!全くもうっ!) 私は、ビールを流し込んだ。 「それ飲んだら、もう終わりだよ。 明日は早いんだから、早く寝とかないと。」 「分かってるわよ。寝坊なんかしないし、このくらいじゃ、二日酔いにもならないから安心して。」 リュウは黙って、何度も頷く。 私は普段から寝坊なんてしたことがない。 お酒もどれだけ飲んだら二日酔いになるかはわかってるし、明日の準備はもう出来てる。 私はグラスに残ったビールを飲み干した。
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