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 「まあいいわ。私あなたが好きよ。ロッキーといるとすごく楽しいし。ずっとあの家は嫌だったけど、あなたがいれば私も頑張ろうかなって思えるようになって…あなたのおかげなの。ありがとうロッキー」  「そんな…俺は何も…」いい年をした男がしどろもどろになる。  それもそのはず、お嬢のまなざしは真剣で思わずドキリとなった。  心臓がピクンと跳ねておかしいかもしれないがこの年までろくに女性と付き合ったこともなかったから…それにコレットの事で気持ちは荒んでいたし…こんなに穏やかな気持ちになれたのはお嬢のおかげだと思う。   でも、彼女は俺の国で言えばいわば王女。俺が自由に好意を抱ける相手ではない。俺はこの世界の事を知らないし、どうしたって考え方はレントワール国にいた時の考え方になるから…  どう答えればいいのかと悩みながら俺はお嬢に言った。  「俺もお嬢といるのは楽しいです。俺も今の仕事頑張ります。だからお嬢も頑張って下さい」  間抜けな答えだ。これが女性の告白に対して言う言葉なのかって。  だが、他に何て言えば良かったんだ?
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