65最終話

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 「もう、ランフォード様ちっとも大丈夫じゃないですわ。私ずっと海の底みたいに真っ暗い所にいた気がするんです。ずっと息をするのも動くのももう嫌で、とにかく何もかもが嫌で…でもね。遠くであなたの声がした気がして私思わず耳をそばだてたんです。もう、おかしいですよね。私あなたの事となるとどんな事でも気になってしまって…それでじっと耳を澄ましていたら、ランフォード様の声がもっとはっきり聞こえて来て…何だか私を呼んでいませんでした?それに…うふっ、もう恥ずかしくてこんな事言うのも照れますけど、ランフォード様私を愛してるって、手放さないとか私を守るからとか、それに私がいないと生きていけないって言いました?あなたがそんな事を言ってくれてわたしすごくうれしかったんです。私はこんな所にいてはいけないって思ったんです。何とか起きようとしてたら、今度はあの歌が聞こえて来たんです。あの歌すごく好きだったんです。保育園の子供たちと一緒にあの歌を歌ったなぁって、すると気持ちがすごく楽になってふわっと身体が浮いた気がしたんです。瞼が軽くなったと思ったら目が開いて目の前にあなたがいて…すごくうれしかった。ランフォード様私を助けてくれてありがとう」
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