影武者の運命(さだめ)

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 久しぶりに嗅ぐ町の焼けた匂い。目の前に広がる破壊された町並み。空は分厚い雲に覆われ、この一体の孤立感を増していた。 「大統領、こちらへ」  ここから先、俺は『大統領』と呼ばれる。  俺は訓練で身につけた歩き方で車に乗った。煙の上がる町を抜け、車はあるビルの前で止まった。  ビルに入り、エントランス端の床をこじ開けると、地下へと続く階段が現れた。長い階段を下ると重い扉があり、それを開けると小部屋になっていた。  シェルター。  有事の時に重要人物を(かくま)えるよう、(あらかじ)め作られていたのだろう。 「大統領は、ここでお待ちください。外の様子を確認して参ります」  2人の護衛を残し、残りの人間は外へと出て行った。
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