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ここで俺が死んで、戦争が終わる?
そんなことあるわけがない。
これは聖戦なのだ。
我々の神が戦えと申されているのだ。きっと本物の大統領は、自分が死んだと見せかけて、新たな制裁を加えるに違いない。
俺の決断は間違っていた!
俺は一心に願った。
『生きたい!』
俺は走った。
すでに心臓が口から飛び出そうなほど、激しく脈打っていた。
俺は岩陰に隠れ、後方を見回しながら息を整えた。そして、追いかけてくる護衛がいないのを確認して、岩陰から飛び出した。
次の瞬間、1発の鉄の塊が俺の胸を貫通した。
その衝撃で身体が数メートル吹き飛んだ。
そして、地面に叩きつけられた。
銃弾が胸を貫通してから、身体が地面に落ちるまでの瞬間、俺は妻と息子の姿を見た。
あぁ、これで会いに行けるのか?
ごめんな。命を無駄遣いしちまった。
遠のく意識の中、黒いマスクを被った数人の男が、ぐったりと倒れこんだ俺を静かに見つめていた。
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