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ここまで来て、何も知らない自分も最後まで奪われようとしていることに気付く。
「いや、いやぁ! 旦那様っ、旦那様ぁ!! 」
力を振り絞って、泣きながら叫ぶけれど、義父の手は止まらない。容赦なく、下生えの奥、自分でも知らない秘処を指で撫で擦ると、「あぁ、あぁ、ここにあった 」と言う。
「やめて、いや…… 」
力尽くで割られる脚。抗おうとしても、敵わない。赤黒い肉棒が入り口に添えられた。
次に来たのは、無慈悲に全身を貫く衝撃。目の前が真っ赤に染まる。
「息子には了承させておるよ。儂がお前を見初めたんだ。儂がお前の本当の旦那だよ 」
身体を揺さぶられながら、聞こえた義父の言葉。
訳が分からないまま、純白の褥に散らされた、赤い花弁。
旦那様もこうなることを全て知っていたのか、知っていて嫁取りをしたのかと思うと、涙がとめどなく零れた。
幸せな結婚を夢見ていた馬鹿な自分。助けてくれる者など、誰も居なかったのだ。
それからの生活は地獄そのものだった。旦那様は私を徹底的に無視した。姑には、息子の嫁でありながら、彼女の夫に抱かれている自分を良しと思う筈もなく、冷たく当たられ、苛め抜かれた。家人も同様で私を蔑みの目で見る。
だが、どうすることができたのだろう。
実家には帰れない。嫁ぎ先のこの家から、破格の結納金を貰っていることを知っている。実家が返せる訳がない。
そして、夜毎部屋へやってくる義父の凌辱は続く。
この日、外縁ですれ違った旦那様から憎々しげに言われた。
「親父が死んだら、お前なんて家から一番におっぽりだしてやる」と。
心臓を鋭い刃物で切り付けられた気がした。呼吸をする度、どくどくと溢れる血。
私は貴方に嫁いで来たのですよ? お姿は知らなくても、結婚が決まったその日から、私は未だ見ぬ貴方に恋焦がれておりました。貴方に一生尽くし、添い遂げると決めてこの家の敷居を跨いだのです。
張り詰めていた何かが、音を立てて粉々に割れた気がした。
血を噴き出しながらビクビクと痙攣する旦那様を腕に抱き、私は赤く濡れた包丁を静かに自分の首に当てる。
「ねぇ、旦那様。次に生まれ変わったら、今度こそ嫁にしてくださいね? 」
ーーーヲワリ。
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