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何が起こっているのか、理解が出来ない。この問答は初めての夜に旦那様と交わすものだと習った。どうして旦那様はここへ来ないのか、何故義父がここに居るのか。
心は逃げなければと警鐘を鳴らす。だが、身体は捕食者に狙い定められた小動物になってしまったみたいに、固まり動かない。
義父の瞳が蛇の目の様に光った。
「さぁ、登るゾォ 」
背後から押し倒され、長い舌にべろりと首筋を舐められる。
気持ち悪さに身を引いて離れようとするが、腰をしっかりと抱かれ、逃げようにも逃げられない。
「や、やめてくだ……っ 」
「ここにあるかな 」
襦袢の襟から遠慮なく、手が探ってくる。誰にも触られたことのない乳房を直かに掴まれ、息を飲んだ。
そして、知った。人間は本当の恐怖に直面すると、声も出なくなるのだと。
「ほぅ、これは、小振りだが美味そうだ 」
ガサついた大きな手が乱暴に揉みしだく。胸の先をガリガリと引っ掻かれ、痛みに呻くと、そんな私を見て、義父は「これが、いいか? 」と喜んだ。
言われている意味が分からず、ただただ、歯の根を鳴らす。
「嫁御や、儂はそろそろ、もっと甘い柿が食べたいわ 」
目を瞑って我慢していると、腰へ降りて来た手が裾を捲り、太腿に伸びてきた。
「蜜汁の滴る、甘い実はどこにあるかな 」
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