無題1

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路傍の泥が少し固まったのと、僕の手が冷たさを増しているのは、冬風が強さを増したからである。 月がよく見える。 星も、よく見える。 雲も散らばって、今はそのひとつひとつの形を鑑賞する余裕がある。 「止まれ」じゃ停められない、生きた世界である。 住宅街へ戻ると、各々の家に通ずる排水口から水が溢れ出ている。 道路脇にある排水溝には先客がいるから、その水は流れることなく街路灯を映してちらり、ちらりと光っている。 きっと夜は近い。
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