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路傍の泥が少し固まったのと、僕の手が冷たさを増しているのは、冬風が強さを増したからである。
月がよく見える。
星も、よく見える。
雲も散らばって、今はそのひとつひとつの形を鑑賞する余裕がある。
「止まれ」じゃ停められない、生きた世界である。
住宅街へ戻ると、各々の家に通ずる排水口から水が溢れ出ている。
道路脇にある排水溝には先客がいるから、その水は流れることなく街路灯を映してちらり、ちらりと光っている。
きっと夜は近い。
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