リーネ・フローリアからリーネット・アステリアへ

9/10
前へ
/71ページ
次へ
それから先は、人間関係や生活面、色々なことを侍女や両親に教えてもらった。 社交界でも困らないように、現在の貴族の顔や名前だけでなく貴族間の情勢も覚えた。 この身体の持ち主、リーネット・アステリアはロタリスタ国の公爵家であった。 しかし、私の記憶にそんな公爵家は存在しない。 私の記憶ではアステリア家は侯爵家であった。 そう、今はリーネ・フローリアが亡くなってから10年が経過していた。 そしてリーネット・アステリアは現在16歳で、私も通っていた貴族御用達の学園の一年生である。 しかし勉学や礼儀作法は大きく変わっておらず、私はすぐにリーネット・アステリアの生活に慣れていった。 ただ一つ、問題が。 「リーネットお嬢様、元気になられて良かったわ」 「それに家庭教師によれば、飲み込みも異様に早く、学園に戻れば首席を取れるレベルだそうよ」 そう、リーネットは頭の良い少女ではなかった。 記憶喪失で多少人格が変わっても、通常ありえない変化に両親は驚いていた。 しかし、娘が褒められることに嬉しさもあるようであった。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加