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◆闇の魔王城
「ククを返せ!」
魔王城についたキキは、暴走状態のシャドと一騎討ちとなる。
シャドは怒りのままに魔法弾を撃ち続けた。キキは苦戦しつつも、必死で攻撃を避けていく。その間に、ククは水晶の中で苦しんでいた。
「これ以上ククを傷つけるな!」
ククが苦しむのを見て、啖呵を切るキキ。すると、シャドは攻撃を止めて訴えた。
「本当は彼女を傷つけたくない……でもそれは闇の神々によって許されないんだ!」
動揺するキキに、シャドは続ける。
「ボクたちは敵同士の宿命だ。途中で仲良くすることが許されない。神に従わなければならない。自由に生きることも許されない。もし僕達が敵同士じゃなかったら……敵同士じゃなかったら!」
シャドはククに片想いしていたが、それと神々に絶対に従うことの間で葛藤している。それに気づいたキキは、シャドは苦しんでいること、魔法を暴走させたことを理解する。
キキは攻撃を止め、シャドに寄り添ってあげた。
「そっか……苦しいんだね」
「魔法も使えないお前に何がわかる!」
「君、本当はククのこと好きなんだよね」
シャドは照れ隠しで怒鳴ったが、キキの言葉を受けてはっとし、攻撃を止める。
「聖なる小枝の少女よ、永遠にこの世から消え去るが良い!」
次の瞬間、まさに今ククに闇の神々の魔法弾が当たろうとしていた。
「危ない!」
思わずシャドはククを庇い、傷つく。
「シャド!」
それを見たキキはシャドを心配する。
「裏切り者め、粛清する!」
闇の神々は怒り狂い、シャドをも粛清しようと目論む。
水晶の檻は破壊されたが、ククは無事に脱出した。キキは倒れたシャドに駆け寄った。
「クク、シャドを治して!」
「わかった!」
キキに頼まれて、ククはシャドの傷を魔法で癒してあげた。幼い頃、巨大樹にしたように、優しく。すると傷は少しずつ小さくなっていった。
「あの時とどめを刺さなかったのは、わたしを思ってくれていたのね」
ククはシャドに微笑んだ。が、闇の魔法弾が二人目がけて直撃する。
闇の巨神がシャドを殺そうとしたのだ。闇の巨神の行いに、キキたちは怒った。
「ひどい! 神様だからって、何やってもいいわけない!」
「そうよ! 自分に都合が悪いから、傷つけていいはずはないわ!」
キキとククは顔を合わせる。
「ぼく、わたしは……シャドを助ける!」
二人はシャドを助けるため、光の神々をも裏切る決意をする。
「闇の人間を助けるとは……我々に逆らうなど、絶対に許さん!」
キキたちの裏切りに対し光の神々は激怒した。二人を粛清しようと猛攻をしかける。邪悪な巨大樹に、光の雨が降り注ぐ。そして、闇の雨も降り注いでいた。
光も闇も、三人を潰そうとしている。
しかし突如、頭上に魔法の屋根が現れ、容赦ない雨から三人を守った。
ドドが障壁を張ったのだ。
「ドド隊長、どうして!?」
ククに尋ねられ、ドドは返した。
「私もお前たちの味方だ! 逃げろ!」
ドドが時間稼ぎをする隙に、二人はシャドを連れて逃げた。
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