第一章・旅立ち

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◆闇の王子 「クク! 大丈夫!?」 「キキ、来てくれたのね」  ククはまだ意識があったが、だいぶ傷を負っているようだ。 「ククを傷つけるなんて、絶対に許さない!」  ククの傷を見て、キキはシャドに憤った。しかし、シャドは不敵に笑った。 「邪魔が増えたな。まぁ良い、お前も消してやる!」  シャドは小枝を振るい、大きな魔法弾を放った。魔法弾が当たると大きく弾け、キキは傷ついた。 「キキ、逃げて! あなたは戦えない!」  ククは叫んだ。が、キキは弱々しくも立ち上がった。 「確かにぼくは、魔法ができない。でも、他にできることは必ずある! 枝を思いっきりぶつければ良いんだ!」  キキは全力で、シャド目がけて枝をぶつけようとした。  しかし、シャドは魔法の障壁を張った。枝の攻撃が弾かれ、キキは後ろへ倒れこんだ。 「枝をぶつける? そんなのは無駄だ! 例えそれで人を殺せたとしても、魔法が使えない奴は能無し! この世界では、魔法を使える奴が一番強い!」  弱ったキキを、シャドは嘲笑い罵った。それを見て、ククは怒りを爆発させた。 「わたしたちだって、魔法を使えるわ! あなたたちに負けるはずがない!」  ククは叫びながら、シャド目がけて魔法弾を放つ。だが、それも、シャドの障壁ですべて弾き返されてしまった。  やはりシャドは笑った。とどめに、シャドは今までよりも大きく小枝を振るうと、巨大な魔法弾を生み出した。  魔法弾は、風のような勢いで、キキに向かって進んだ。そしてキキに当たると、衝撃とともに大きく弾けた。  キキはもう弱りきっていた。 「キキ!」  ククは悲しげに叫んだ。 「言っただろう! この世界でものを言うのは魔法を使える奴だ、と。いつまでも魔法を使えないなら、一生諦めろ!」  馬鹿にした笑みを浮かべながら、シャドは向こうへと去っていった。 「キキ、大丈夫!?」  ククはキキに寄り添い、声をかける。 「何とか、大丈夫。ククも大丈夫?」  キキの方も、ククを心配していた。 「わたしは平気よ。やっぱりわたしたち、もっと強くならなきゃ」  ククはさらに決意を固くした。その目は真剣だった。 「そうだね。ぼくも、できることをもっも増やさなきゃ」  キキも使命感を持ち、二人は今までよりも熱心に修行に取り組むようになった。何日間も旅を続け、二人はドワーフの村に到着した。
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