奥州安部一族の正体

6/32
前へ
/32ページ
次へ
第6章 戸籍より前の先祖調査  インターネットを検索すると、戸籍より前の先祖を調べる方法が色々あることがわかりました。それは以下の通りです。 ●郷土史 本籍のある自治体で編纂している郷土史を調べる方法です。一般には、「○○市史」などという名前がつけられた冊子で、そこに戸籍にあった先祖の名前を探します。 ●過去帳 先祖のお墓を管理しているお寺に保管されている「過去帳」から、先祖の俗名(生前中の氏名)、他界した年月日を探す方法です。 ●家臣録・宗門人別帳 先祖の江戸時代の身分によって分かれますが、例えば武士なら仕官していた藩の家臣録に氏名や役職、禄高が記載されている場合があります。また先祖が庶民なら宗門人別帳に家族の名前、年齢が記載されている場合があります。 ●墓 先祖の古い墓から先祖の情報を探る方法もあります。そこには俗名、戒名、没年月日、続柄が刻まれている場合があります。もしかすると家紋も刻まれているかもしれません。  太郎さんは以上の方法を検討しました。先ず国会図書館に問い合わせると太郎さんの先祖の住んでいた場所の郷土史はそこでは扱っていないことがわかりました。現地の図書館で閲覧してくださいということでした。 次に過去帳ですが、太郎さんは先祖の檀那寺がわかりませんでした。そこで先祖の住んでいた場所の周囲のお寺を一つ一つ訪ねて回って、先祖が檀家だったお寺を探すしかありませんでした。ただ、そうやって檀那寺が見つかったとしても、果たして過去帳を見せてもらうことが出来るか不安でした。プライバシーの問題で過去帳を見せていただけない場合があるとインターネットでは記載されていたからです。そこでこの方法も今の段階では無いと判断しました。 それから太郎さんの先祖は江戸時代に武士ではなかったと判断したので、家臣録ではなく宗門人別帳を探そうと思ったのですが、先祖の土地の宗門人別帳の所在がインターネットではわかりませんでした。それでこの方法も今の段階では断念しました。 そこで最後に残ったのは先祖の墓を探す方法でした。お墓のことを詳しく調べると、江戸時代の墓は身分や家格を表していることがわかりました。もしかすると身分や家格から、家紋のことがわかるかもしれません。太郎さんは戸籍の次はお墓の調査しかないと確信しました。 ただそのお墓の場所がわかりません。そこで太郎さんは、先祖が住んでいた場所に近い墓地を一つ一つ見て回ろうと思ったのです。常葉は人口が6000人ほどの町でしたし、そうすればきっと見つかるだろうと思いました。実際、インターネットでその町にある墓地を調べてみると三か所しかないことがわかりました。本籍の地番に一番近い場所から順に回ればよいと思ったのです。 太郎さんは太郎さんの祖父が生まれ育った場所をインターネットで検索しているうちに、一度自分の目でそこを見ておきたいと思うようになりました。それにそこは祖父だけではなく、曾祖父や高祖父は勿論のこと、それ以前の先祖も生まれ育った場所です。ですから、実際にその土地を訪れ、周りの景色を脳裏に刻み、その空気を胸いっぱいに吸い込んでみたいと思ったのです。このようにして太郎さんは早速次の休みに先祖の地を訪れることにしました。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加