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重たそうな、ずんと濃い灰色の雲が広がる。
強い風が吹き抜ける。
肌を刺すように寒い冬の日。
きっとこれから雪が降るのだろう。
凍るように冷たい風が容赦なくわたしの顔を襲う。
「さむ……」
コートのフードをすっぽりと被る。
帰宅の足は自然と早足になる。
薄暗い寒空の下、暖かな我が家を思う。
こんな日だった。
ちょうど一年前のこんな風に雪が降る寒い日だった。
あれは確かに夢じゃない。
雪と奇跡が降り積もった日だった。
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