8人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章『告白ゲーム(藤堂朔視点)』
*プロローグ*
今日で11月も終わりか。
なんてぼんやり思いながら、人気のない路地裏の道を歩き、帰路に付いていると。
「初めまして、藤堂朔君。私、杉原衣と言います。四葉女学園の3年です」
眼鏡を掛け、癖のあるロング髪を靡かす女性に声を掛けられた。
すみれ色のリボンに、白を基調した清潔感ある制服を身に着けている。
「四葉女のお嬢様が俺に何かご用でしょうか?」
「単刀直入に申します。私、貴方が好きです、お付き合いして頂けませんか?」
愛嬌のある笑顔で、要件だけを述べてくる彼女。
「悪いけど、俺はアンタを知らないし、付き合う理由なんてないんで」
心が酷く澱んで居たのもあると思う。
断るにしても、彼女に苛を含む、随分冷たい物言いをしてしまった。
「私、諦め悪い方なんです、写真部が売っていた貴方の写真を見た瞬間、一目惚れで。今日はただ先制布告にきただけですので、またチャレンジしに来ますね」
彼女はそう言い残すと踵を返し、軽い足取りで路地裏を抜けて行き、もう姿は見えない。
*プロローグ 終*
最初のコメントを投稿しよう!