砂に星、友に方便

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 校庭では表彰式は終わっており、着替えて教室に戻る。 「表彰式、写真取ってたのに!」 「いや俺代表じゃねーし」 「打ち上げ、食べ放題だって」 「あ、北河さん。打ち上げ食べ放題らしいけど、行く?」  入り口近くで日南くんがスマホを操作しながらこちらを見上げた。その奥で西条くんが伊東さんに何か言われている。 「打ち上げ……」 「何故かトロフィーを受け取った俺が幹事を任されてる」  はあ、と溜め息を吐きながらクラス名簿を持っている。その中で小田原さんの横にバツがついているのが見えた。 「ごめん、用事あって」 「おっけー。お疲れ」 「日南くんもお疲れ様。優勝おめでとう」 「おお、ありがと」  人懐こい笑みを浮かべながら日南くんは他のクラスメートに出欠を聞いていく。席に戻ると、小田原さんは静かに本を読んでいた。  すぐに担任の先生が教室に入ってきて、HRが始まった。今日の戦績と、表彰のこと、アイスのこと。打ち上げをやっても良いけど羽目は外さないこと。 「え、朔良行かねーの」  後ろで伊東さんに捕まった西条くんが言った。
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