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プロローグ
ポタポタと水が滴っていた。
荒く吐く息が白くなっていたが、それに気付かぬまま無我夢中で進んだ。意識のない人間を、それも男性を、引き摺って歩くのはついこの前まで中学生だった彼女にとって、象を引くこと程大変なことだった。
象を引くことなんて、今までもこれから先もないだろうが。
ぽつりぽつりと距離を空け、無感情に外灯が彼女と彼を照らし、影を作る。
乾いた地面に少しの水跡を残して。
その日、彼女は死のうと思っていた。
しかし、何の因果か。
死体に似たものをを持ち帰ることになってしまうとは。
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