暴かれる空白の謎と彼女

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暴かれる空白の謎と彼女

茉弘side 「ん………朝か。」 昨日飲み過ぎたのか昨日の事は何も覚えてない。飲んだ時は覚えてる。その足で帰った後が覚えておらず空白だ。 (不安だな。お酒を飲んだ自分がどんなのか) 前回飲んで今日と同じ覚えてなかった。ならばこの家に設置してある監視カメラを見れば解決なのではと思う反面自分が彼女に酷い事をしたのでは無いかと不安でもあった。 「ふぅ……よし見る決心はついた。」 彼女は前回同様まだ起きて無い。明らかにおかしい何時もは僕より先に起きてるのに酔って帰った時だけ起きるのが遅いなんて。これは昨日やらかしたに違いない。今日は休みの日。だから時間はある。 (さて……着いた) 監視カメラの映像を見るための部屋に訪れる。部屋に入り、椅子に座ってカタカタとPC画面を開き映像を確認する。遡るのは1ヶ月前。自分が調子に乗ってお酒を飲んだ日、たしか○月✕日だったはず。 「お、コレだな」 映像は玄関前に映し出されそれから指を舐めてと言っているシーンがありそれを何処か怪我したのかと心配そうにする彼女。そんな光景が映っていた。更に酷い光景を目の当たりにする。 「何だよ………これ……」 明らかにディープなキスをしている自分とそれを必死に息をする彼女。頭が回って無いのだろう性器を指だと思い込み必死に舐めている。続きを見るのも躊躇われるが覚悟は予め決めていて最後まで見るつもり。 (こんな酷い事してたのか……) 段々と口調が荒くなり遂には命令口調で愛しい恋人を犯していた。信じられない映像だが、これが真実。 「昨日の映像は………コレだな。」 昨夜の映像を映し出す。自分が家に帰って来た場面で何やら紙袋を持っている。記憶は無いが何処かで買ったのだろう。次にまたもや命令口調で彼女に服を脱げと言っている場面があり、何故彼女は従うのか分からなかった。 それにコレを言わなかったのはどうしてだ?普通あんな事されれば別れ話くらいするハズの所まで来ているのに彼女は拒まず酔っている自分に従った。 「聞いてみた方が早いな……」 彼女に聞いてみる事にした。あの日、初めて酔って帰った日彼女は何も言わなかった。酷い事をしたり言ったりしたのに次の日になって覚えてないって分かった時何を思って何を考えてたのか。やめると言った時彼女は大丈夫とだけ言って飲みに行く事自体嫌では無さそうだった。 「そろそろ起きてるかな?」 時計を見れば午前9時18分を指していた。今頃彼女は起きてるハズだと思い部屋を出た。 「おはよ弥生。」 「あ、おはよ茉弘!」 何時も通りの反応と挨拶。違和感は感じられない。 「弥生に聞きたい事があるんだ。」 「うん」 彼女にとっては分からないだろう首を傾げキョトンと目を丸くしている。その仕草さえも恋人バカなので可愛いと感じるが事実確認という名の弥生の本心確認をしなくては。 「僕昨日弥生に酷い事したよね」 「え?してないよ……どうしたの?」 はぐらかされた、だけどここで問い詰めないと。弥生の本心を聞きたいから。決意を抱き、真っ直ぐに彼女の目を見る。 「"監視カメラの映像を見た"と言えば分かる?」 ______________________ 「え………?」 嘘、嘘、嘘バレたの?どうしよう……嫌われちゃう怖い。 彼の目は真っ直ぐに見つめるそれが怖い。監視カメラの映像を確認したんだ。違和感を覚えたから。何で分かったの? 「茉弘……私……」 「大丈夫僕は弥生の本心を知りたいんだ。」 優しい声色。安心する声。話してもいいのかな。茉弘が傷付くかもしれないのに…でもこれ以上隠し通せない。 「うん……分かった。」 「ありがとう弥生。」 にこりと微笑む彼を見て安心する。どうやら怒っているわけではなさそうだ。逆に決心がついた目つきをしている。だから大丈夫。 「聞くけどあんな酷い事されて何で抵抗しなかったの?」 「茉弘だからかな……」 彼に質問され素直な自分の気持ちを答える。本当の事だから。彼になら何されても構わないと思っているし、何より彼に支配されるのがクセになっている自分がいたから。 「僕だから?」 「だって好きな人だから何されても平気!」 ドキドキしながら彼の質問に答える。今どんな風に自分が映っているのか怖い。笑顔を作り無理やり笑う。自分が従うのは彼限定好きだから大好きな人だから従ってしまう。 「たとえば今僕が同じ事を言ったら従うの?」 「うん……茉弘が言った事は出来る範囲で従うよ。」 意外な質問だったまさか彼からそんな事を投げかけられるとは夢にも思わず驚いた。どんな意図でこんな質問をしたのだろうか。今彼が何を考えてるのか分からない。最悪の場合わ考えてしまう。 「そっか……」 「っ茉弘は……私の事幻滅したよね……」 つい口が滑ってしまった。口に出すハズの無い言葉。私が心の底で思っている事。口に出した瞬間申し訳なさと罪悪感酷い悲しみが押し寄せてきた。 「え?」 「だって………あんなのシラフの時見たら気持ち悪いよね」 ダムが決壊したかのように私の口は止まらなかった。自分自身が気持ち悪い。あんな事彼にさせるなんて彼女として恋人として失格だ。彼の隣に果たして自分が居てもいいのかと思考がネガティブに侵食する。 「ごめんねっ気持ち悪いのが彼女で………」 遂には涙が零れた泣く資格なんて無いのに彼を傷付けてきっと泣きたいのは彼の方なのに。止めどなく出てくる涙はポタポタと私の頬を伝う。 「そんな事無い!!弥生は可愛い僕の自慢の彼女だ。」 「!」 彼が声を荒らげ、叫んだ。付き合って彼が声を荒げたり叫んだりはしなかった。ただ淡々とした態度だけど優しい声色と顔が今は違う。 「だから泣かないで気持ち悪いなんて思ってないから。」 「茉弘……うぅ………私…」 私を落ち着かせる為に撫でてくれた。そして落ち着くまで傍に居てよしよしと頭を撫でられた嬉しくてまた涙が零れる。 「落ち着いた?」 「うん………ありがとう茉弘」 近かった距離も彼が離れた事により普通の距離感になった。落ち着いた今、羞恥心で死にたくなった。彼の前であんなに泣くなんて恥ずかしすぎて顔から火がでそう。 「あ、涙拭かないとね。」 優しい彼は私の為に涙を拭こうとハンカチを取り出した。無意識なのか顎を軽くだが掴まれ私はあの日の事が重なり身体が熱くなる。 「ぁ……」 ゾクゾクと身体が彼を求め始める。息遣いも荒くなりこんなみっともない姿をよりにもよってシラフ状態の彼に見せるなんてとも思ったが身体は正直だ。彼に触れられ、支配されたいと渇望している。 「…………。」 「ひゃ……」 彼は無言で私の首元を撫でる。今自分がどんな顔してるのか分からない。だけど今私は彼に欲情して興奮している。 「……あ、もう大丈夫だな。」 パッと彼の手が離れる。もっと触れて欲しいと思いながらもシラフ状態の彼はきっと"普通の恋人"を選ぶだろう。酔った時みたいな事はせずに。 「…ってもうこんな時間か」 時計を見ると10時半過ぎお昼の準備をしないと。 「僕買い物行ってくるけどお昼ておやつ何がいい?」 「えっと……明太子パスタとマンゴーパフェがいいな。」 明太子パスタとおやつはマンゴーがふんだんに使ったパフェ。私が大好きな食べ物でマンゴーパフェを食べたら手が止まらなくなる程大好きな食べ物。 「分かった、本当弥生はパスタとマンゴー好きだな。」 「うん♪」 彼にお昼とおやつの注文して買って貰う事にした。楽しみだな私の好物買ってくれるなんて嬉しいな。 「じゃあ、出かける準備してくる」 「分かった」 そう言って彼は着替える為に自室に戻った。数分後驚きの速さで彼はリビングに戻ってきた。ちゃんと着替えて後ショルダーバッグを持って。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい。」 私はいつも通りに彼を見送ったのだった。 ______________________ 茉弘side 僕は彼女を残して家を出た。嫌家では無い買い物だ。お昼ご飯と彼女の好きなスイーツを買って帰るつもりでいたが、愛しくてたまらない彼女があんな表情をするなんて。 あの物足りなさそうな切なく甘えた表情。 (理性を保てそうに無い程いやらしい表情だった……。) ハッキリ言おう僕は今の彼女が好きだ。否違うなもっと好きになった。気に入らないと言えば知らない所で彼女が酔っている自分自身に調教された事。だがそれがあったからこそ今の彼女がある酔った自分に感謝する日がくるなんて夢にも思わなかった。 (あの表情で確信した。弥生は僕を求めている。) それが堪らなく嬉しい。彼女が可愛い。彼女を支配したい。彼女を自分だけの物にしたい。いつしか蓋をした欲が溢れ出る。大切にしようと思って優しく接した。キスも軽めしか出来ない事で悩んだ。これ以上の事をすると嫌がれると自分自身を閉じ込めた。 「あ………」 ふと、何気無く見ると、丁度良く首輪が売っている店があった。看板には店員が相手の名前と自分の名前を入れてくれるらしい。 (好きな言葉も入れられるのか。店に入るか。) カランコロンとベルの音と共に入店する。店員がいらっしゃいませと愛想良く接客する。中はオシャレで棚が綺麗に並べられていた。店内を歩き回りこの店がどんな物を売っているのか見て回る。 (色々な首輪があるな…後名前キーホルダーも。) 不思議な事に首輪と名前が入るキーホルダーは別売りらしく違う場所に置かれていた所謂カスタマイズを自分でしろみたいなスタンス。 (色と形はやっぱりコレだな。) 自分色にしたかったので水色の首輪を選んだ。値段を見ると少々値が張る値段だが彼女の為なら惜しみなく使う。 (色は決まったし……後はキーホルダーの形だな。) 首輪と同様に色々な形があり、普通の丸型もあればハート型、星型とどれも捨て難くて思ったが、やはり無難な丸型にした。帰った後が今から楽しみだ。 「コレに名前とか言葉を入れてくれるんだよね?」 「はい勿論です。」 先程接客していた店員に確認する。どうやら本当に言葉を入れてくれるみたいだ。 「どんな言葉を入れましょうか?」 店員が聞いてきたので入れたい言葉すでに決まっていた。 「表は弥生、裏は茉弘その上に飼い主と入れて。」 「かしこまりました少々お待ち下さい。」 そう、飼い主。僕は彼女の主人になるのだ。正式にコレを渡さないといけない。そこら辺に売っているただの首輪じゃ駄目だ。ちゃんと刻み込まないと。 (あぁ……弥生の喜ぶ顔が目に浮かぶな。) 可愛い彼女の表情が脳裏をよぎる。僕たちは普通の恋人同士ではいられないのかもしれない。恋人同士でもあり主人とペットの関係になってしまった。 「お待たせ致しました完成しました。こちらです」 店員に呼ばれ、会計に案内される。 「コチラになります。」 箱の蓋だけを取った状態で見せられる。綺麗な金色が光る。それにはきちんと弥生の名前が入っていた。 「これも買う。プレゼント用で。」 「かしこまりました。」 先程選んだ水色の首輪を渡す。店員はお辞儀をし直ぐさま首輪に合う水色の箱とリボンを、用意してキーホルダーを首輪に付けてから手際よく水色の箱の中に入れ、蓋をしてからリボンを結んだ。その後小さな紙袋を取り出し、丁寧にプレゼント用の箱を紙袋に入れる。 「2点で25万円です。」 「はい。」 鞄から財布を取り出し代金を支払う。紙袋を手に持ち店を出る。カランコロンと入店した時と同じく鳴った。 「お買い上げありがとうございました。」 後ろから店員の掛け声を聞いた後、目的地に向かった。 「弥生のプレゼントは買ったし後はパスタとパフェか。」 近くのコンビニに寄り、明太子パスタを買った。パフェは残念ながら無かったので、パフェ専門店で買う事にした。 「パスタも買ったしパフェも買った…よし帰るか。」 茉弘は満足気な表情で帰路に着くのだった。
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