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2.楽しい時間こそ一気に過ぎるが本当は嫌な時間こそ過ぎて欲しい
一曲、なんて言いながらお互い満足するまで踊り、流石に疲れて近くのベンチに腰かける。
日々騎士として訓練するカイルはやはり私よりも体力があるらしく⋯
「ほら」
「ありがとう、悪かったわね」
「別に」
屋台で買ってきてくれた果実水を手渡され思わずすぐに飛び付いた。
こくりと喉を通る爽やかな甘さにホッとし一気に全部飲んでしまって。
“やだ、はしたなかったかしら!?”
ハッとしてちらりと横目でカイルの様子を窺うが。
「はは、そんな喉渇いてたのか?ほら俺のも飲んでいいぞ」
気にしていないどころかむしろ好感度が上がったかのような笑顔に意表を突かれた。
「あ、ありがとう⋯」
“流石は国のマッチングね⋯!?”
「流石国のマッチングだなぁ⋯」
「!!?」
ふと思ったことをしみじみと言われ思わず肩が跳ねる。
勢いよくカイルの方を見ると、少し目を丸くした彼と目が合って⋯
「あ、いや⋯今のはだな、あー⋯その。必死に飲む姿が可愛いな、と思ってだな⋯」
「は、はしたないじゃなくて!?」
“か、可愛いの⋯!?”
いや私は確かに伯爵家として磨かれてきたし割と可愛い方だと自負してたりしますけど!?
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