苦くてしょっぱい

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苦くてしょっぱい

 今日……今日が、  ―――第1志望の受験日!  今まで一生懸命やってきた。入学をして、偏差値が高い大学を目指して猛勉強。行きのバスの乗車時間のスキマ時間、1時間くらい早めに来てワークを開いて勉強、部活が終わって帰りのバスでもひたすら暗記をして、帰った後もひたすら手を動かして……手が震えるくらい猛勉強をした。 「いける。……俺は、ちゃんとこの大学に入れる!」 (だってあんなにも、手が震えるくらい、手が拒否をするぐらい震えたのだから)  ―――大丈夫!  そう意気込んで俺は息を吐きだし…会場に入った。 「『残念ですが、不合格になりました』……か。ははっ……、うっ、うぅ……」  俺はひたすら泣いて泣きまくった。最難関の国公立大学だが、入りたかった。部活に入っても馴染めず、クラスメートとも馴染めず、   ―――ただひたすらに勉強をして、気を紛らわせていた。  現実から目を背けるように。ただひたすら、きらびやかで楽しそうなその大学を夢見て、そこに自分が居ると想像して、興奮して身体を震わせた (あぁ、あとはもうだめだ)  あとは第2と第3志望の大学の通知を待った。  ―――2校とも無事に合格。ほかの大学も合格をしていた。  でも、それでも……。 「あぁ、入りたかったな……。ははっ、あは」  浪人しなくて良かった安堵と、1番行きたかった大学に入れなかった悔しさ。……そんな入り混じった感情のなか、涙を流し身体を震わせて悲鳴のように……情けなく号泣した。  ―――俺の青春だった。ほろ苦くて、しょっぱい思い出だった。  雪の日の思い出。切ないけれど、春が近づいてきているから……暖かくなって、解けるかな?  ……このほろ苦い思い出は、消えてなくなるかな?  そして俺は降り積もった雪を見て「春になぁれ」なんて言った。
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