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新しい保健室の先生
神崎司はどこにでもいる女子高生。現在二年生だ。
「今日は朝から全校集会があるから、皆ホームルーム終わったら体育館に向かってね~。」
担任は、去年新任でやって来たばかりの若い教師、南雲ツバキ。
口調はとても教師とは思えないほど弛く、頭も抜けている天然。
化学を受け持つ重度の化学馬鹿。
普段は生徒の方がしっかりしているレベルだ。
そんな事より、司は全校集会の方が引っ掛かっていた。
今の半端な時期に全校集会など、生活指導のうるさい長話しか想像つかない。
全校集会が始まった。
「今日は新しく着任した、保健室の先生を紹介します。」
前までいた保健室の先生は、家庭の事情で辞めた。
それでほとんど保健室は機能してなかったが、どうやら新しい先生がやってきたようだ。
新任の教師が体育館のステージに現れた瞬間、生徒達が騒がしくなる。主に女子が。
司はその姿を見た瞬間、別の意味で驚いていた。
プラチナブロンドの長い髪。肌は透き通るように白い。中性的な美しい顔。
長い手足と佇む姿は、神秘的なまでに美しい。
司は周囲の黄色い歓声が耳に入らなかった。
「嘘、でしょ…?」
遠目では見えないその瞳は、きっと宝石のように青いのだろう。
司は酷く驚いて、食い入るようにステージの上を見つめていた。
「今日から着任した桂木ライトです。養護教諭としてお世話になります。
だいたい保健室に居るので、よろしくお願いしますね~。」
そう言った、桂木ライトは司の歳の離れたいとこだ。
何も聞かされていない司は、ただただ驚いていたのだった。
「あの先生、マジかっこよくない?」
「ヤバイ!超イケメン!!」
「キャーッ!桂木先生~!」
既に女子たちはお祭り騒ぎでキャッキャッと発狂していた。
その時、ぐるりと辺りを見回したライトと目が合う。
にっこり、と意味深に笑われた。
「な…っ!?」
女子達が『自分に笑いかけてくれた!』
『いやあたしよ!』などと発狂する中、なんとも言えない居心地の悪さを抱いていたのだった。
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