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「ふーん…全然似てないな。」
外国の血が入ったハーフと純日本人とで比べてほしくない。
それを抜きにしてもライトと司は、あまり似ていないかもしれない。
「…ということで、影沼くんと言いましたか。
サボろうとしてたみたいですけど、用がないなら戻りなさい。」
「わかった。」
「理解が早くて助かります。」
「屋上でサボる。神崎、俺は保健室で休んでるとクラス委員長に言っておけ。」
影沼に心の声とかないのだろうか。
せめて授業を受けるフリでもすればいいのに、どうして本音駄々漏れで話すのか。
「え、ええ…私がそれ言うの…?
自分で言ってほしいな…。」
「そうですよ、影沼くん。
サボるのなら私の見えない場所でサボりなさい。それと、私の可愛いいとこを巻き込まないでくださいよ。」
なぜかライトは司の頭を撫でながら言う。
見えないところでなら良いというのが既に見てみぬフリをする気が前提。
ライトも教師として少し頭が可笑しいかもしれない。
「ライトさん…じゃなくて先生、やめてください。」
影沼はそれで鋭い瞳をより一層鋭くさせた。
「あんたをセクハラ教師って訴えたら、保健室は当分空くかもな?」
「セクハラではありませんよ?
司は私の身内なのでね。」
じろり、と鋭い目線を向ける影沼。
優雅に余裕たっぷりに笑うライト。
両者はなぜかバチバチと睨みあっていた。
先に折れたのは影沼だった。
かったるそうに欠伸を噛み殺す。
「めんどくさ。…寝る。」
気だるげに保健室を出ていったが、明らかに教室には向かってなさそうだった。
本当にどこかでサボるつもりなのかもしれない。
「ゆっくりしているのは構いませんが…司、そろそろ行かないと授業が始まるのでは?」
「そ、そうだ…っ!そろそろ行かないと!」
次の授業までそう時間も無かった。
「まあ…私は司が居ても、文句はありませんけどねぇ?」
ライトはテーブルに頬杖をついて、司を見つめた。
高く結われたプラチナブロンドが、ふわりと揺らめいた。
天使のような微笑みを見せながら、悪魔のような甘言。
仮にも教師が、そんな事を言って良いというのか。
美しさに一瞬、魅とれかけたが慌てて司は目をそらしていた。
「い、いってきます!!」
「…ふふ、いってらっしゃい。」
ライトは優雅に紅茶に口をつけ、ひらひらと手を振っていた。
司は大急ぎで教室に向かう。
とんでもない人がやってきたものだ。
これからの高校生活を、密かに心配していたのだった。
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