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体育の授業
晴れ渡った空、太陽の日差しの強い中。
体育の授業は行われた。
「よっしゃ、影沼ァッ!覚悟しやがれッ!!!」
勢いよく投げ放たれたボールが、影沼へと向かっていく。
ボールを投げたのはクラス委員長の神楽坂風真だった。
金髪、ピアスとバリバリ校則違反な格好をしているが、外見に反して良いところの坊っちゃんだ。
高校の理事長の息子でもある。
成績は優秀、その容姿で風紀委員。
外見に反して情も厚いクラス思いな委員長。
まさに外見だけのインテリヤンキー。
「チッ…うぜぇ。」
影沼は吸い込まれるように向かってくるボールを受け止めていた。
「うお、すっげぇっ!!」
「影沼くーん!!」
「神楽坂くんも頑張って~!」
影沼は不快そうな顔で、神楽坂へと力の限りボールを投げた。
影沼と神楽坂は学校の二大ヤンキーとして有名だ。
顔を合わせたら、互いを罵り合う犬猿の仲でもある。
よく互いをゴリラ、猿と罵り合っている。
司は気づいていないが、何故か司は二大ヤンキーに気に入られている。
クラスでは体育の授業で行われたドッチボールで盛りあがっていた。
因縁の仲である神楽坂と影沼でチームが別れているからか、主に二人を中心にバトルは白熱していた。
「元気だなー…。」
司が呑気に呟いた時だった。
ズドン、と司の顔面にボールはクリーンヒットしていた。
「…っ、悪い!神崎。」
敵チームの影沼が謝る。
「…大丈夫。」
神楽坂と同じチームであった司は退場となる。
どうせほどほどに逃げて、終わるつもりだったのでちょうど良い。
しかし、それで反応したのは神楽坂だった。
「テメェ、おいおい…イイ度胸してんじゃねーか!!くらえ、神崎の仇だぁぁ!」
凄まじい勢いで神楽坂がボールを投げ放ち、影沼陣営のまとめて五人くらいがやられていく。
いや仇もなにも、別に司が死んだわけではない。
その間に司はさっさと外野に出ていた。
「神崎さん、大丈夫?
念の為、あとで保健室に行った方がいいんじゃない?」
「え?そこまででも…」
「うちがあとで言っておいてあげるし、マジ行った方がいいって~。」
外野の女子たちに心配され、確かにずきずきと頭が痛みはする。
好意に甘えておくことにした。
「うん、それじゃ終わったら保健室に行ってくるね。」
「了解~、伝えておくからねー。」
よく試合を見ていなかったが、神楽坂が発狂して喜んでいるところを見るに、どうやら神楽坂チームが勝ったらしい。
「ひゃはははッ!!!俺の勝ちだぜぇっ!どーだ、影沼よぉっ!?」
司はドッチボールが終わってからそそくさと保健室に向かっていた。
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