208人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
俺は自分に似合わないセリフにおかしくなってしまった。
「失礼ですがおいくつですか」
「俺は三十歳です」
「じゃあ、あと一年ですね」
「はあ?」
「私、誕生日がきたら次の世代の仲間入りです」
その女はにっこり微笑んだ。
俺はその笑顔に吸い込まれた。
「あのう、二人で抜けませんか、食事行きましょう、どうも、ここの料理は
俺の腹を満たしてくれない」
「でも、あと一年……」
俺は彼女の言葉を遮り、こう告げた。
「惹かれちゃえば、関係ないですよ」
俺はスマホで車を会場の入り口につけるように指示をした。
彼女の手を引っ張り、車にエスコートした。
「さあ、乗って」
運転しているのは、俺の側近件運転手の日下部テツジだ。
「お疲れ様です、かしらじゃなくて社長、どちらに行けばよろしいですか」
彼女はテツの言葉に変な顔をした。
(やべえ、バレたか)
「しばらく、走らせろ」
最初のコメントを投稿しよう!