手を伸ばさずにはいられなくて

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「よし、これで…」  大人に近づいていくたびに、少しずつずる賢くなってきた私です。  手元に用意されたのは17×43ミリの小さなサイズの消しゴム。 「平…岡…直…人、と」  力を込めてボールペンで片想い相手の名前を書き込んだ。  消しゴムの文字を乾かしている間に、今度は白い紙に彼の名前を書いていく。  好きな人の名前って…書くと何だか幸せな気持ちになる。  平岡直人 平岡直人 平岡直人   ニヤニヤしている自分に気付く。  平岡直人 平岡直人 平岡…直人  一瞬自分の名前を書きそうになって焦る。  平岡亜矢 …悪くない。  高森亜矢より良いんじゃないかな?
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