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黒いものがだんだんと形を帯びるようになり、父が帰ってくる頃には人格を形成しだした。この人格は作ってはいけないような気がする…。
必死に止めようとした。でも、心は震え続けていた。これから起こる「何か」に自分自身で興味を持ってしまっていた。
「離婚するなら子供は預かってよ」
「はあ?なんで俺が。お前の子供だろ」
この言葉に、私の中の何かがはじけた。
次の瞬間、私は近くに落ちていたハサミを取り、妹の腕に押し当てた。
妹はギャンギャン泣いてうるさかった。
長く泣くので母親がみにきた時には妹はふとんを赤く染めていた。
なんとも思わなかった。
母親が来る前に洗面所でハサミを洗い、元の場所に戻しておいた。
無表情のまま、母親になじられた。
何も感じなかった。
いや、何も感じないわけがない。
快感を感じた。でも、物足りなかった。
首を絞めればよかったと、後から後悔した。
妹はなんとか一命を取りとめ、私は父親に、妹は母親に育てられることになった。
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