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少し酒が効いてきたのか木の葉が最初のクールな印象から少し柔らかい態度になってきた。ストーンの体験談に小さく微笑む。
「じゃあ次私! 私はちょっと違う種類の怖い、かもしれないけど声の大きい人ってちょっと怖い。隣に住んでる人がたまに電話かな?怒鳴ってるのが聞こえて怖い。あと貯金がゼロになることと、メイク道具がなくなることと、流行に乗り遅れることと、宗教の勧誘と、太ること! これは無理!」
「多い多い」
アルファが笑いながら突っ込むと他の面子もあははと笑った。怖いと言うより嫌な事、という感じだが誰も突っ込みはしない。どう見てもゆりりが一番年下なので、年下に指摘をするのも野暮だと皆わかっているのだ。
「じゃあ次は俺で! ガチャ回してお目当てが出なくて課金で10万越した時! いや、値段がどんどん跳ね上がることかな? 昔は2~3万使って青ざめてたけど今結構使っちゃうな」
「あ、それマジで怖い。その感覚が」
「歯止めきかなくなるやつじゃない」
社会人であろうアルファと木の葉が真剣に突っ込んだ。いやあ~止まらなくって~とストーンはへらへらしている。だいぶ酔いが回っているので、もしかしたら明日にはこの会話忘れているかもしれない。
「じゃあ最後、ざるそばさんは?」
順番で俺に声をかけてくれたのは木の葉さんだ。全員顔出しをしているが、俺は顔出ししていない。出す出さないは自由だからいいよ、と言ってくれたのでお言葉に甘えて画像オフだ。
「酒の席だしウケ狙いしたいところだけど。ごく普通に」
「なになに?」
少し勿体つけるとゆりりが食い気味で聞いてくる。
「普通に。他人の目が怖い」
「目?」
「なんか見つめられるのだめで。目逸らしちゃうんです」
「ああ、いるよねそういう人。あ、もしかして田んぼのカラス除けの目玉みたいなもようとかダメ?」
「ダメですね」
「いる! 俺の知り合いにも!」
何が面白かったのかストーンはケラケラと笑ってわかるよー! と繰り返す。他の人もまあまあ悪くない反応だ。ゆりりは「そうなの?」と不思議そうにしている、理解できないのだろう。注目されることは嬉しいタイプみたいだしな。
「っていうか、さっきからあんまりしゃべらなかったから気づかなかったけど。ざるそばさんってかなりイケボだね」
木の葉さんが言うとアルファさんもうんうん、と大きく頷く。
「思った。さてはイケメンだな!ちくしょー!」
「ちくしょー!」
ストーンもそれに乗っかり男二人でどうせ俺らは平凡だよ~と嘆いてみせる。この二人、結構酒弱いんだな。
その後最近ハマっていること、好きなブランド、最近行って面白かった場所、連休中は家で過ごすんだけどいい暇つぶしないかとか、初対面とは思えないほど皆打ち解けていた。酒の効果は大きい。俺はあまり発言せず、ふんふんと皆の話を聞くに徹した。あまり自分からしゃべるのは好きじゃない。
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