本当に怖いモノ

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「ねえ、もしよかったら、なんだけど。ちょっと飲み直さない? 二人で。ブルーオーツから少し離れたところにショットバーがあるんだけど。そこ店員さんが目の前でホットスイーツとか作ってくれて、お酒以外のメニューもあるからお腹に溜まらないから気にいってるんだ。ブルーオーツ前集合ってできそう?」  二人で、をさりげなく小声で言う。二人で対話をしているので小声にする必要はないのだが、こういうちょっとした演出を女性は嬉しがる。彼女はわずかに目を見開き、みるみるテンションが上がっていく。 「行く行く!」 「時間大丈夫?もう十時過ぎてるけど」 「ぜーんぜん、実はブルーオーツ行くのに三十分もかからないから!」 「よかった、じゃあ一時間後にブルーオーツの前に集合でいい?」 「うん!」 「あ、その時ざるそばさんって呼べないだろうから俺の名前教えておくね。田崎翔真、よろしく」 「私、戸田悠里!後でね!」  きゃー、と頬を染めて彼女はリモートを切った。俺は小さく微笑む。 「俺一人暮らしだから、宅配って夜指定にせざるを得ないんだよね」 「明日も休みだろうけどそろそろお開きにしようか」 宅配が来れる時間、20時までには家に帰れる。次の日の事を考えているので規則正しい生活をしている。 「帰る時間遅い事多いんだけど、人通りも少なくて街灯少ない道あるから」 夜一人になる。ドアチャイムの設定を知らないので安いアパート住まいではない。家は警備会社に入っているが使った事はない。入っているというだけで安心し、夜道を警戒していると言っているが直接の自衛策はない、用心深いようで形から入って満足するタイプ 「ガチャ回してお目当てが出なくて課金で10万越した時!いや、値段がどんどん跳ね上がることかな?昔は2~3万使って青ざめてたけど今結構使っちゃうな」 金の管理が甘く貯金が多い。おそらく実家住まいで自分で使える金が多い。酒に非常に弱い。誰とでも打ち解けるので会話のマウントを取れば操りやすい。  そして。好きなブランドは品川にある店三軒、特定の店まで三十分かからない距離に住んでいる、夜に家を出られるので一人暮らし、インスタやSNSには自撮り写真が多く背景からするとほぼ住所が特定できる。  貯金がゼロになるのが怖いのならクレジットで買い物をするやや金遣いが荒い方、奢れば簡単に心を許してくるタイプだろう。顔と名前を教えただけですでに相手を信用しきっている。
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