親切心の芽生え

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親切心の芽生え

 誰もが一度は芽生えたことがあると思う。親切にしてあげようって気持ち。  道を歩いていたら白いタンポポが咲いていた、珍しい。道端に生えていても誰にも気づいてもらえないし排ガスまみれになるだけだ。摘んで部屋に飾っておこう。SNSにあげればみんなとシェアできる、良い事だ。  子猫が捨てられていて、拾っていこうかなと思う。でも実際問題猫が飼えるかって言われれると無理で、そのまま素通りしちゃう。でも一応、こういう猫がいました誰か拾ってねってSNSで発信しておく。たぶん誰かが拾ってくれるだろう。子猫の命を守った。  車椅子の人が駅の階段を登れずにどうしようと困っている。声をかけようかなと思った。でも車椅子の人持ち上げるなんてやったことないからわからない、落として怪我させたくない。駅員に「あそこに車椅子の人いますよ」って教えてあげた。駅員数人で対応している、教えてあげて良かったなって思う。  この情報拡散してください、困っているんです、という情報発信はたくさんある。「この政治家は悪い奴です、あんなことこんな事やってるってみんなが言ってます。議員をやめさせる為にもご協力お願いします」って。拡散した、悪い奴は裁かれるべきだ。議員は辞職した。日本の未来を守った。  こういう親切心って、人なら芽生えるのが普通だ。良い事をすると気分がいい。  ピコン、とスマホの通知が鳴った。彼からだ、なんだろう。 「もしもし? 何?」
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