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眩しい君
隣の君は、眩しかった。
目が眩むほど、鮮やかで。
手を伸ばすほど、遠くへ行く。
そんな君に、僕は憧れていた…のかもしれない。
藍色の傘が、ポツポツと音を立てながら、僕の頭上で揺れる。
…雨は苦手だ。
偏頭痛持ちなのだ。頭が痛くて勉強に集中できない。
それに、雨は憂鬱な気分になる。
だから、僕は雨が大嫌いだ。
嫌いと言えば、もう一つ。
それは、隣の席の一ノ瀬ひまりだ。
一ノ瀬さんは、いつも中心にいる。
何をしててもヘラヘラ笑って、分け隔てなくみんなと遊び、おまけに先生からも好かれてる。
とにかく、いつも中心にいる。
そんな一ノ瀬さんが、憎らしい。
腹が立つ。掴みどころのない薄っぺらい笑顔に。
嘘みたいな感じの良さに、自然と人が寄ってくる明るさに。
とんでもなく、腹が立つ。
いいよなあ、楽して幸せになれて。
いつも勝手に人が集まってくるんだから、それは楽だよなあ。
いつもヘラヘラ笑えて、いいよなあ。
僕は笑みの一つさえも、こぼすことができないのに。
そんな思考が、自己嫌悪を呼ぶ。
…やっぱり、あんな奴のことを考えるのはやめよう。
そう思えば思うほど、僕の目は眩しすぎる彼女を追いかけていた。
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