春のbpm

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小さな路地を抜けると、そこには、また別世界が広がっていた。 なんというか、街を流れる空気が違う気がする。形容するなら「夜のまち」と言ったところだ。そう思った瞬間にドキりとした。 「なんか緊張してきたかも・・・」 そして、行き交う人々の視線が、時々自分に注がれていることに気づく。それはそうだ、学ランの制服を着た男子高校生が1人でこんなところをフラフラしているのだから。やはり目立つ。 慌てて近くの路地に入り、上着を脱いで鞄の中に無理矢理詰め込んだ。 これでサラリーマンに見える、訳はないが、上下学ランよりはまだマシだろう。 スマホで時間を確認すると、午後6時ぐらいだった。これからもっと人も増えて、街も明るくなってくるだろう。 路地から顔を出して、大通りを確認する。 この道をもっと進むと、所謂2丁目と言うところに行き着く。 当然行ったことはないが、自分は同性が好きなんだと気づいた日から、度々調べることはあった。 緊張と期待と不安を抱えながら、大通りに出る。
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