始まりは突然に

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始まりは突然に

…ここはどこだ? だだっ広い空間 薄暗くて血生臭い 私以外には7人、高校生ぐらいの人達が立ってる あとは床に倒れている8人の…人? これって異世界召喚ってやつ? でもなんで… 「お、おいおいおい。ま、まじかよ…」 立っているうちの1人の男が声を発す 「これってよ…例の『異世界召喚』ってやつじゃねえのか!?」 かなり興奮した様子で近くにいた男に声をかける 「…かも、しれませんね。僕はよく分からないのですが…」 委員長タイプって感じのするメガネ君が答える  「…貴様らが我が召喚に応じた勇者共か?」 煌びやかな椅子に1人の美丈夫が座っており、8人に問う 「は、はい?俺らが勇者?」 興奮していた男が訳がわからないと言った様子で問い返す 「ああ、貴様らは我に勇者として呼び出されたのだ」 「勇者…」 数人が呟く 「な、なあ、あんた…もしかしてだけど魔王ってやつか?」 「…如何にも。我は『寂寥之魔王・ジル=ドール』だ」 とてつもない威圧のこもった返答を返す 「マ、マジで魔王なのか…って、じゃあ俺らは誰と戦うんだ…?」 かなり困惑した様子で語尾が震える 「貴様らには人間共が召喚したとされる7人の勇者と戦ってもらう」 …嘘だろう? 異世界召喚といえば魔王を倒す系がテンプレなはず… なのに人間側の勇者を倒す? それは…人を殺すってことなのか? 「困惑するのも分かる。だが時間がない。早速だが貴様らには明日から訓練を受けてもらう。無論、勇者を殺すためのな」 いともたやすく、当たり前のように告げる 「お、おい、それって、人を、殺すって、ことか?」 額に汗が流れているのがここからでも分かる 「その通りだ。貴様らはそのために召喚されたのだ」 「…ふふ」 …はっ!いけない、思わず笑いが零れてしまった 周りの奴らが変な目で見てくる 「ごめんなさい。こんな現実離れした事に直面したせいでおかしくなったのかも」 他の7人に頭を下げる 「いや、別に謝らなくてもいいんだがよ…」 「うん。その通りだよ。こんな状況で平静を装える訳ないよね」 なんとか躱せたようだ 嬉しくて笑ってしまったなんてバレたら距離を置かれかねない 今はまだ仲良くしておくのが得策かな なんて考えていると魔王がゆっくりと立ち上がる 「我は貴様らに絶対の忠誠を誓えとは言わん。だが貴様らが我らの味方になると言うのなら全力で支援しよう」 「貴様らの望みもできる限り答えよう。だから、我らに力を貸してくれ」 そういって頭を下げる それに対して私以外の全員が動揺に包まれる 「いえ、頭を上げてください!何も魔王様が頭を下げることではないですよ!」 と、委員長っぽいやつが 「そうだよ。俺は元から魔王様の味方だぜ!」 とうるさい方が 「…助かる」 頭を上げて私たちに歩み寄る 「では、よろしく頼む」 そういって全員と握手して回る 「さて、メフィ!」 「はい、ここに」 影から現れるように青髪の美女が魔王の目の前に現れる 「この者たちを部屋へ案内しろ」 「かしこまりました」 私たちの方を一瞥する 「今からお部屋にご案内致します。この城は迷いやすいのでお気をつけくださいませ」 恭しくお辞儀をした後、滑るように出口かと思われる大扉を開く 「こちらでございます」 先に行けと促す そのまま私たちは部屋へと案内され、少ししてから夕食へと向かった
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