百年の愛は、運命の輪で踊る

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 自分のテントに誰かを呼ぶなんて、今までのリッツからしたら、絶対にありえないことだった。  しかし、ジェイの話を聞いて、ジェイによく似た男に触れられたら、心臓が壊れそうに揺れてしまった。  もう少し、幻でもいいから、この夢みたいな偶然の出会いに浸っていたい。  そう思って、自分のテントにガラハットを招き入れた。  売れっ子のリッツは一番大きなテントを使っていた。  近くに他のテントもない。  ゆったりと過ごせる環境が気に入っていたが、やはり大きな男が入ってくるとそうとも言えない。  座っている時も大きく見えたが、立ち上がるとやはり壁のように大きな男だった。  今日は非番だからか、騎士の鎧は身につけていないが、衣服の間から覗く、胸元の引き締まった筋肉に心臓がドキッとしてしまった。 「それで? 一年国の話の続き。アンタが教えてくれるんでしょう?」 「死んだよ」 「え?」 「国を取り返した男は、王になることなく、死んだ」 「嘘! な……なんで……」  ショックで眩暈がしたリッツはフラリと揺れてしまったが、ガラハットの太い腕が、リッツの体を受け止めてくれた。  ガラハットの顔が自然に近づいてきたので、リッツは思わず手で押し止めた。 「君を奪いにいくためだと言ったら?」 「は? 変な冗談? やめて……」 「やっと君をこの胸に抱いたのに、俺を受け入れてくれないのか?」  まるでジェイが話しているように重なって見えて、リッツの手が止まった。  獣のように鋭い目、日に焼けたような肌、艶のある漆黒の髪、目鼻立ちから唇の厚さまで、それらが記憶と重なってリッツの腕から力が抜けていく。  名前を呼ぼうとして口を開いたが、それは叶わなかった。  ガラハットの唇が重なってきて、すぐに舌が押し入ってきた。  生温かい感触がして、これがキスなのだとやっと遅れて気がついた。  その頃には、もっと深く、身体中貪られるような口付けに変わっていた。 「はぁ……はぁ……ぁ……」 「これも……初めて、か?」  リッツが息を吸いながらやっと頷くと、ガラハットは嬉々としたようにリッツを持ち上げて寝台に運んだ。  キスだけで、すっかり頭の中が溶けてしまったリッツは、ガラハットの顔をぼんやりと見つめていた。
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