百年の愛は、運命の輪で踊る

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 ※※※  青々とした草原を風が吹き抜けて、パラパラと音が鳴った。  大きな雲が影を作り、それがゆっくりと動いてまた陽が大地を照らす。  平和な光景を見ると、胸をぐずられるように嬉しくなる。  悲しい前世を思い出すことは、もうほとんどなくなった。  今を生きているんだと実感して、リッツは大きく深呼吸をした。   「リッツ、出発するぞ」  声がした方向を見ると、ガラハットが大きく手を振っているのが見えた。  馬に水と食料を与えるために休憩をしていたが、それが終わったらしい。  草場で寝転んで休んでいたリッツも、大きく背伸びをした後、立ち上がった。 「町まで出たら、買い物をして宿を取ろう。今日は帰らないと伝えてある」 「じゃあ、久々に飲みに行こうか? 酒場巡りでもしてみる?」 「……だめだ。リッツが酒に強いのは知っているが、何かあったら心配だ」  二人で飲むと、リッツは強すぎて、ガラハットが先につぶれてしまう。  さすがに、この元王国近衛騎士長といて、襲ってくるような命知らずはいないが、ガラハットはいつも心配してくる。  それはきっと、前世でエヴァンの死を見ているからに違いないというのは、リッツも薄々気がついていた。  二人で生きていこうと決めてから、ガラハットは国の仕事をアッサリと辞めてしまった。  家族にリッツを紹介して、国の定めで結婚という形は取れないが、これからは二人で生きていくと宣言した。  ガラハットは、物心ついた時から、家族に自分には心に決めた人がいる、その人を連れてきたら認めてほしいと言い続けてきたらしい。  家族は覚悟していたのか、リッツを温かく向かい入れてくれて、二人に領地をくれた。  年中気候が温かく住みやすいと言われている領地に大きな家を建てて、今はそこで暮らしている。  最初はのんきな田舎暮らしを想像していたが、領地の管理に、新しく始めた果物畑や、ワインの工場、羊や牛の飼育場の管理など、やることはたくさんあって毎日てんてこまいだ。  近くの村の祭りでは、歌やダンスを披露することもあり、リッツは失敗ばかりだが、それなりに役に立っていると思うことにしている。    来世では平和に生きたいという願いが、ようやく叶えられた。  そして愛する人と歩んでいきたいという願いも……
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