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透けるような白い肌、銀色の髪、晴れた空のような青い瞳。
前世で死んだ歳が近くなるにつれて、ますますおかしな気分になる。
平和な人生をと望んだはずなのに、今世もなかなか大変な人生だ。
リッツという名は、拾い親が付けてくれた。
生まれてすぐ、道端に捨てられたが、珍しい銀髪だったこともあり、旅芸人の一座に拾われた。
座長は自分の息子として、可愛がり育ててくれた。
物心ついた時には前世の記憶があったが、神官であった頃の知識など、客商売では何の役にも立たなかった。
一座は国を跨いで旅をして、各地で夜店を開いて金を得ていた。
リッツは今年、前世で死んだ歳と同じ二十五を迎えた。十の頃には舞台で踊り始めて、花は過ぎたと言われるが、今も人気の踊り子だ。
前世では神官として、儀式で踊ることがあったので、その頃の経験が少しは活かされているのかもしれない。
芸事を学ばされる時に、一番踊ることが体に合った気がした。
もちろん神に捧げる荘厳な踊りとは違い、酔客を楽しませないといけない。
リッツが踊るのは、愛を主題とした誘惑のダンスだ。
子供の頃は、楽しげに踊っていればお客も笑ってくれたが、この歳になると色気のあるものを求められる。
衣装もそれに合わせて、透ける素材で艶かしいものを身に着けている。
腰まで伸びた髪を緩く結んだリッツは、よしと声を上げて立ち上がった。
「今夜のお客様は?」
「この国の騎士団の方々です。何でも賊の討伐が終わったとかで、ずっと貸し切りで飲み食いをして盛り上がっていますよ」
「……男の集まりか。厄介だな」
「リッツさん、性別関係なくモテますけど、特に男からは……すごいですよね」
リッツを呼びにきた団員が、大変そうだなという顔をして頭をかいているのをみて、リッツは息を吐いた。
「悪いけど、舞台終わりの挨拶回りはしないから」
「ええっ、勘弁してくださいよぉ。座長から、絶対やらせろって言われて……。そりゃ毎回狙われて、断るのが大変だと思いますけど……」
舞台終わりは、演者達が客席に出て、挨拶回りをする。
酒を注ぎ、時には体に触れて、機嫌を取ってより多くの金をもらうのが恒例だ。
客から希望があれば一夜を買われることもある。
だが、リッツはどんなにしつこい客がいても、今まで一度も、誰とも一夜を過ごしていない。
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