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──我ハ歌ウ 命 尽キルマデ
我ハ誓ウ コノ身 朽チルマデ──
間髪入れず詠唱を始めたセンシに、先生も驚いた。
「リュート!それは全霊龍撃の呪文です!逃げて!」
本来の威力を持たない疑似魔法とは言え、奥義は格が違う。リュートを吹き飛ばし失神させるくらい、訳もない。
「覚えてるよ先生!あんまり馬鹿にしないでくれよな!」
──ファァイヤアアアアアアアアアア!!──
なんと、リュートの詠唱はハイトーンのシャウトのみ!
その勢いに応える様に発生した巨大な炎の竜巻が、センシの七色の龍を飲み込んで行く!
「とにかくでっかい炎!
まだ龍は出せないけどこれでどうだ!」
それを見てちょっと感心する先生。
「ほほう、炎の精霊はノリが良いとは言え、究極とも言えるシャウト一発で詠唱を完成させるとは。
しかもffffとはまた彼らしいが、単純故に強い。もしかすると天才かもしれませんね」
だが炎では水の龍と炎の龍を消し去る事は出来なかった。
「ゴンボ!左から龍が飛んで来るわ!」
部屋の出口へ向かうゴンボに飛びかかる二体はしかし、突然空中で凍りついた様にピタリと停止する。
「全休符!」
振り向いたゴンボは既に呪文を発動させていた。
彼の陣地の上空に入った龍はもはや身動き一つ取れない。
「ゴンボ、下ろして!私も戦う!」
クラリネは乱れた銀髪にも構わず、カーボルをかばう様に彼の前にすっくと立ってセンシを睨む。
そして、カーボルは……
「カーボル、怖いですか?震えが止まりませんか?」
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